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夜咄の茶事:1年ごしの企画

30日の日曜日に続いて、6日(土)も茶道の教室でのお稽古茶事。
30日はお勝手だったが、6日は亭主をさせていただいた。

実は“もしも夜咄の茶事ができるなら”と今回の茶事を思いついたのは1年半ほど前。
とある古美術品のお店で椿の形の香合を見つけたことがスタートだった。

赤い椿の花びらの外に白い部分がある、陶器の香合。
厳密にいうと花の形はちょっと違うが、
でもその作りは東大寺にある良弁(ろうべん)椿、別名「糊こぼし」によく似ている。
近づいて見ると、「東大寺 お水取り 椿」と小さな字で書かれたメモが
桐の箱に付いていた。

“あぁ、やっぱり糊こぼしを模したものだ”

その数か月前(昨年3月)、お茶の先生やお稽古仲間と合計4人で奈良に旅行し、
東大寺のお水取りを見に行ったのだが、
そこでの冷たい空気、勇壮なお松明、
珍しい白い椿のてんぷらをいただいたこと、
この椿を模した「糊こぼし」という上生菓子を食べたことなどが
次々と思いだされた
(思い出のほとんどが食べ物関係であるのは、ちょっと情けないけどね)。

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“あぁ、この香合、欲しい”と、気持ちがちょっと傾いた。
だけど、多くの場合、炉の時季の茶室には椿の花が生けられる。
同じものが2つ重なるのは面白みに欠けるし、
それも茶花と重なるというのはいかがなものだろう、と、
傾きかけた気持ちが一旦はニュートラルな状態に戻った。

そこで帰ってしまえば、今回の茶事はなかっただろう。
だけど、“花を生けない夜咄なら、椿の香合が使える”と思い付いてしまった。
そう思い付いたら、もうダメ。
連れて帰ることに決定!
“そういえば、先生は「二月堂」という名前の水指をお持ちだ。
それに、この香合をあわせれば、うまくお水取りが表現できるのではないか”
と、勝手に拝借することまで決めてしまった。
まったく図々しい弟子である。

先生たちとの奈良旅行では、
奈良時代・藤原家の中将姫ゆかりの當麻寺(たいまでら)にも足を伸ばし、
門前の蕎麦屋で蕎麦とともにソバがきも食べた。

おもしろいもので、“奈良旅行を思い出してもらえる茶事をいつの日かしたい”と
思っていると、その主旨にそって道具類が寄ってくる。
ある日、當麻寺の古い瓦で作った花入というものが目に飛び込んできた。
夜咄では、茶花の代わりに石菖を飾るのだが、
この花入ならうまく姿が整うような気がしてくる。

その後、ある陶芸作家さんの展示会で先生がお釜をかけることになり
私も展示を拝見しに出かけたのだが、一つのお茶碗の前で足が止まった。
「東大寺の香炉の灰を釉薬に入れて焼いた茶碗」というものが出ている。
“うっわぁぁ~、こういうのが出会いっていうのかも?”
と思いながらも、私には手だしのできないそのお値段に、
頭の中では「逆ロミオ(高貴なお方)とジュリエット(平民なワタクシ)」の図が展開し、
身をひくことに。
後日、先生のお宅にその作家さんから届いた荷物を開けてびっくり。
先生もお気に召したらしくお買い上げになっていた。
“これはもう、夜咄のお茶事をするなら是が非でも!
先生にお願いしなくちゃ!”
と固く決意したのだった。

お稽古茶事は夜咄の趣向でおこなうことが決まり、
懐石料理の献立を話していると、
先生が「暮れだし、味噌汁の具はソバがきにしましょうか」とおっしゃる。
私は、心の中でガッツポーズ。

社中の日程の希望などを取りまとめる段になり、
亭主を勉強させていただきたい旨をお願いすると、
先生は、一緒に旅行した宗チョウさんを正客として客組みをしてくださった。

干菓子は、旅行の際にも立ち寄った奈良の萬々堂から
「都跡(みあと)」という菓子を取りよせ、
源吉兆庵の「粋甘粛」を切り分けたものと2種盛りにした。

あまり奈良旅行にばかりこだわり過ぎてもいけないし、
それ以上の持ち合わせもないので、他の道具はあっさりと。

私は考えついてから1年半ほどの間、
ああでもない、こうでもないと1人で楽しんできたが、
果たして正客さんは楽しんでくださっただろうか。

*追って、写真をアップする予定。

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コメント

monacoさん、こんばんは。
このたびはお忙しい中、ありがとうございました☆
おかげさまでぶじ催事を終えることができました。
(つかれたぁ〜 です ^_^;)

東京滞在中の夜は、新宿でいろんなお店のごはんに寄ってみて楽しかったですよ。
また、お会いできることを楽しみにしています。

投稿: 宮崎佐和子 | 2008年12月 9日 (火) 23時12分

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